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2016 “Redbull Thre3Style” JAPAN Champion & World Best 4 “DJ YOU-KI” interview

“DJ YOU-KI” 静岡県御殿場市出身のDJで、2016年レッドブル主催のDJ世界大会において日本予選で見事優勝。日本代表として南米チリで行われた世界大会に出場し、日本人初の予選突破を成し遂げファイナルに進出。惜しくも優勝は逃したものの現地のオーデェンスやライブストリームの視聴者からは「YOU-KI 1番良かった」と言う声が非常に多く寄せられた。それが証拠に会場では結果発表の後、入賞できなかった事に対しYOU-KIコールが延々と止まなかったほどだったという。そんな彼にインタビューし現地での様子やエピソードを聞いてみると共に、それほどまで人々の心を掴んだ熱い男の内側を覗いてみた。


DJ YOU-KI - Portrait

まずは日本予選での優勝おめでとう!そして世界大会ベスト4お疲れ様でした。

ありがとうございます!

早速だけど、世界大会ってどうだった?空気感とか日本大会とは全然違ったものだった?

そうすね、まず今回の会場が南米って事でお客さんの雰囲気も違いましたけど、規模が何千人って俺がいままでやったことがない規模だったし、ラテン圏ってことで受ける曲なんかがぜんぜん違ってましたね。

やっぱり大会にむけて曲とか事前にリサーチしてしてた?

そうすね。やっぱりラテン語の曲とか、流行っているものとか、 伝統的ないわゆるクラッシックな曲なんかもピックアップしていきましたね。実は今回の会場が南米チリになったのは去年優勝したのがチリ出身のDJという事でなったんすけど、その人が日本での予選大会のジャッジで来てて、そこで見てくれていた時に、なんか気に入ってもらえて「俺はお前が選抜の中で1番好きだったからちょっと協力したいんだよね」つってチリの曲とかを教えてくれたんすよ。でも俺も言葉とか全然わかんないから(笑)とりあえず教えてくれた曲とか人気がある曲とか調べて持っていったんです。

ラテン圏の人ってノリがいい感じがあるじゃない?そういうのは感じたりした?

いや、自分で思ってたほどのラテンのノリっていうのより、その場の雰囲気は大人しくてこれはよっぽどうまくやらないと盛り上が らないなっていうのがあって

えー?そうなの?意外だね?

そうなんすよ「なんでもかんでも好きな曲かければのってくれるんでしょ?」じゃなくて(笑)わりと冷静っていうか、酒もそんなに飲んでなくてチリの人達にとっても珍しい大会なんで「どんなショウみせてくれんの?」っていう。だからちゃんとしたのをみせれば日本なんかより盛り上がるんすけど、意外とこじ開けるのが大変だなって感じでしたね。

でもそういう部分じゃ一番盛り上げていたと思うよ。ちょっとDJの部分から離れた事聞いてもいい?チリに行った時に困ったり大変な事ってあった?

行くのに30数時間かかるんすよ。カナダ経由だったんですけど、チリは30度とかあって暑いからそんなに厚着しなでいいかって思ってたら、カナダでマイナス2度くらいでクソ寒くて!時間あるから街に出ましょうってなって無理矢理パーカーとか買ったりして(笑)言葉の面だとサポートスタッフが、レッドブルジャパンから来てくれてて通訳してくれたんで大丈夫だったんすけど。でも自分じゃ英語も全然ダメなんで、これじゃあ世界に行くには勉強してかなきゃ駄目だってスゲー思いましたね(笑)

観光なんかはできたの?

1週間程いたんすけどスケジュールはほとんど埋められてて、治安の問題もあってあんまり出歩かないようにって感じで。ただちょっとした観光ツアーみたいなのはありました。『パイオニアさんの新しいビートをつくる機材とかをみんなで試してみて下さい』とかっていう企画とかあとは『皆でレコードを掘り(探し)ましょう』っていう企画があって、けっこうゲトー(貧民街)の汚くてでっかい倉庫に行ったんすよ。そこの一画に汚い箱にレコードがいっぱい入ってて、「おー!?」って探してたんです、そしたらその中に自分が大会で最後にかけたチリのヒップホップの曲があったんで、嬉しくて買おうとしたんですよ、そしたら値段が全然高くて、ぼったくりじゃん!って、だからやめました(大笑)

うはー、ありがちだ!(笑)他の国のDJと仲良くなったりした?

そうすね、24ヶ国からもきてたんでスタッフいれると結構な人数だったんですよ。だから絡む人って限られてたんすけど、アジア圏のDJは仲良くなりましたね。タイと台湾と韓国だったかな?そこのDJがすごく良くしてくれて、なんでか知らないんすけど、いつも同じバスになっちゃって(笑)それで台湾のDJ が帰国後にイベントに呼んでくれたんすよ。ついこの前行って来たんすけど、この次はタイのDJも呼んでくれる事になってて。

おぉ〜じゃあこの大会がきっかけで世界に出たりするようになったんだ!スゴイね。ちょっとここで質問変えちゃうけどいい?DJを始めたきっかけとか教えてくれる?

3つ上に兄貴がいるんすけど、兄貴が高校生の時にターンテーブル買って来て、部屋でやりだしたんですよ。それ見て「俺もやりてーなー」 ってなって。その頃にもともと海外のミックステープ聴いたりとかしてたんで、ちょっとは知識があったんすよ。んで、コスったりしてるのとか「なんなんだろう?」ってすげー気になってたんで、ミックステープ聴きながら、同じレコード使って真似してみたら「おおー!」ってなって(笑)それでハマってった感じすね。そのあと大学生の時には自分でターンテーブル買って、とりあえず練習だって感じで家でばっかりやってたんすよ。クラブとかは行かないで。スクラッチビデオとかみて研究ばっかして、ずっと家で練習してました。

DJ YOU-KI - Performance
DJ YOU-KI performs at the Red Bull ThreStyle in Nagoya, Japan on March 30th, 2014

え?じゃあクラブに行ってなかったの?

そうなんすよ。でも2004年くらいだったかな?アニキに「お前もそろそろクラブでやってみない?」って言われて、その頃は神奈川とかのクラブだったんですけど、何度か出させてもらったんです。そのあと今度は地元の御殿場のクラブに参加したんすけど、その時にDJ-AZUSAさん(現在所属しているG.O.D. プロダクション代表)が一緒にやってみない?って声かけてくれて。メッチャ嬉しくて、その時に気に入ってもらえて、そのままずーっと今までって感じです。

おお〜運命的な出逢いだね(笑)DJの事について聞いていい?今話に出た「クラブDJ」と「スクラッチDJ」?ていうのは?

「クラブDJ」っていうのは今のお客さんの状況をみながら、その場に合わせた選曲をしていって盛り上げるというか、現場の感覚を1 番の要素でやっていくのが「クラブDJ」なんですよ。で、スクラッチをやるっていうか「バトルDJ」っていうのがあってこれはまったく別モノで、ほんとに技術のみのDJというか、それこそ家でやってるだけでもできる技術をみせて大会で競い合うのがいわゆる「バトルDJ」なんです。

というとYOU-KIクンはもともと「バトルDJ」ってこと?

いや、バトルの大会には興味がなかったんで大会には出てないです(笑)でも俺はもともとこのバトルっぽいDJではいて、そのころにAZUSAさんのDJをみて「クラブDJってこんな盛り上げ方するんだ。コレはかっこいいな」ってやられたんです。それでずっと一緒にやらせてもらってきてるですけど。でも俺は俺で、それにプラスアルファで自分のやってきた技術を組み込めばもっと面白くなるんじゃないか?っていうのがどこかにあって。そんな時にちょうどこのレッドブルの大会が開かれるようになったんで。

あー!なるほどこの大会はクラブ要素もバトル要素もある大会だからって事?

そうなんすよ。このスリースタイルって制限時間15分内で3つのジャンル曲をプレイしなきゃいけないんです。んでその中で「創造性」「選曲」 「技術」「ステージ映え」「フロアの盛上り」っていうのでジャッジされるんです。この大会がでてきた時に「あー。これだったら俺は負けないな」って思って(笑)だから周りにも「俺あの大会出たら絶対勝てると思うんだよな〜」って言ってたんすよ。そしたら普通に「まず優勝してからそういう事言ってみろよ!」って言われて(笑)

んじゃ、けっこう前からチャレンジしてた?

いや大会は2010年からやってるんすけど、知ったのが2012年で。それで2013年に応募したんすけど審査で落とされて(笑)だから2014年はどうしようか迷ったんすよ、でもなんか悔しいから2013年の音源をそのまんま送っちゃえ〜って送ったんですよ、したらなぜか審査が通ちゃって(笑)

ええ〜!?(笑)

当時の大会は地区予選があったんですよ、それでその年は東海地区予選で優勝してそのままジャパンファイナルまで行けちゃって、まあファイナルでは勝てなかったんすけど(笑)んで2015年は2014年に地区予選で勝ったし、結果も良かったから今年はいけるでしょって感じで、予選ぐらいじゃ負けないよって、でも行ったらサクッと負けちゃて(大笑)

はははは。それじゃあ2016年は特別気合い入れていった感じだった?

いや、2016年はシステムが変わっちゃってて、オンライン応募になっていきなり6人が選ばれるようになってたんすよ(笑)でもそこで6人のうちに選ばれて、ジャパンファイナルで優勝できたし、その後世界大会行けたんで。

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じゃあ2017年も?いきますか?(笑)

まだどうしようか決めてないんです(笑)

もう(日本大会)優勝しちゃったから気が抜けちゃった?

いやいや(笑)という訳じゃないんですけど。今回はもともと優勝できなくていいから、とりあえずいい結果を残したいなってあったんす、それで一応結果はだせたのかな?ってあって。それに決勝では地元(チリ)の人達 から一番声援をもらえたから一つ達成できたなと思ってるんで..でも、まあ優勝したいって気持ちはありますけどね(笑)

じゃあいつかって事だね?(笑)

そうっすね、わからないっすけど。でも予選がはじまっちゃえば応募するかも(大笑)

では、今後の目標は?その世界一ももちろんだろうけど、計画みたいなモノとかある?

そうすね、やっぱり世界っていうとまだ俺がみた事のない場所がたくさんあるし、そういう場所でDJしていきたいなって思ってます。この前、初めて台湾行ってやってみた時も思ったんですけど、俺の知らない国で俺を知っててくれて期待して観に来てくれた人が沢山いたりしたんです。そう考えたらもっともっといろんな国で知らない場所でやってみたいってのはありますね。

いいね!ワクワクするよね!(笑)最後に、静岡でこれからDJや曲作りなどやってみたい人や、若い人たちに向けてメッセージをもらっていい?

俺なんて日本でも無名なDJだったわけなんですけど、そんな俺でもこうやって応募して積み重ねて、そうしたものさえあればそっから認めてもらえるチャンスっていうのは、こういうふうにあると思います。それから俺は、昼間仕事しながら今まで10何年DJやってきました。仕事で上の人から『どっちが大事なんだ?』ってすごい怒られた事もあります。それでも曲げずにDJやってきた結果、今こういうところにも呼ばれるようになれたし、それにまだ仕事しながらDJやってます。だからそうやって夢を、自分の信念をずっと曲げずに、持っててもらいたいなって。そんなふうにすれば必ず叶うって思います。なんか良く言われてる言葉だけど、身に染みてそれがわかったから人に言 えるかなって(笑) あと俺は東京とかに出るつもりはないし、この静岡からいろんなところに呼ばれたら良いなって思ってるんで、そういう意味でもここにいながらもできるし、ここにいてもできるんだよっていう希望をもってやってもらえたらなって思います。


DJ YOU-KI (G.O.D. Production)

2000年よりCLUB DJとしての活動を開始。G.O.D. Production所属。静岡県のCLUB,RADIODJを中心に、都内や各地方で活躍している。二枚使いやスクラッチを取り入れた独創的かつ男気溢れるPLAY STYLEは同業者からも大きな信頼を受けている。DJ ScratchStatik Selektah等、来日した海外アーティストのフロントアクトの経験を持つ。

2016″Redbull Thre3Style” World Final”では、日本人初の世界予選を突破しての決勝進出となった。


interview and text by PONYBOY

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